日本先進矯正歯科学会学術大会japanese advanced orthodontic conferenceMessage大会長ご挨拶
分断から融合、誕生へ
グローバル資本主義は限界を迎え、さらに、コロナ禍、米中摩擦、ウクライナ危機、
気候変動、格差と貧困、AI失業等で、社会は分断と対立を深めている。
歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は話題の書「ホモ・デウス」で、
テクノロジーの発展によるディストピア(反理想郷)を描いて警鐘を鳴らしている。
ごく一部の富裕層が人工知能(AI) とバイオテクノロジーの力で超人類(ホモ・デウス)にアップグレードされ、
大多数の人々を支配し、最終的には超人類が現生人類を淘汰するかもしれないという。
また、AI等により様々な業種が無用にされ、職の消失が心配されている。
しかし無用者が増えれば、その人たちを活用しようと新たな技術進歩が起きる。
これが「方向付けられた技術進歩の理論」である。すると労働への需要が高まり、
賃金が上昇し、格差が縮小していくことが考えられる。
また、AIのディープラーニングは、単純な最小二乗法(誤差を最小にする近似計算)にすぎない。
近似計算なのだから、AIの知は無謬(むびゅう= 間違いがない)ではないし、人間の知も同様である。
人やAIが作るあらゆる知は全て現実の近似であり、将来いずれ「間違いであった」と証明される可能性がある。
AIによって増強された超人類が現れても、彼らが自己の可謬性(間違いがある)を認識するならば、
弱者と共存する多様な社会を維持することを目指すはずだ。
私たちの分野では、アライナー治療、舌側矯正治療、アンカースクリュー治療等、様々な治療法が開発された。
これらの対立した方法論は淘汰されることなく、テクノロジーの進化に伴い融合を始めた。
そして新たな治療法や概念が発生し、さらなる多様性が加わった。
今回、様々なジャンルのスペシャリストが大会に集結した。
私たちはそれぞれのジャンルの最新の技術や情報を学び、それらを習得し、熟慮することで、
それらを融合させ、新たな方法論を生み出す。
第五回日本先進矯正歯科学会学術大会
大会長 斉宮康寛
日本先進矯正歯科学会学術大会japanese advanced orthodontic conferenceInvited Speaker招待講演者
※写真をクリックすると詳しい情報が表示されます。
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HIROHIDE ARIMOTO
有本 博英
■タイトル
成人矯正における顎整形的治療の効果
■抄録
顎整形力は矯正歯科医が使う手法の一つである。骨格のポジションや大きさの整位を行って、いわば歯を並べる『土台』を整えるのが目的である。上顎の横断方向の是正に使われるのがHyraxタイプの急速拡大装置だが、歯を固定源として正中縫合にアプローチし、主として成長期の患者に適応される。
一方で、ミニスクリューを併用した拡大装置が開発され、骨に直接力をかけることができるようになった。MOONが開発したMSEは代表的な装置で、成人でも応用できるようになり、さまざまな症例報告がなされている。しかし、すべての患者で成功するとは限らず、成功する要因はよくわかっていない。また、MSEを使った場合に歯列のみならず外見に及ぼす影響も患者としては気になるところである。
本講演では演者の経験した過去のMSE患者について、成功したものと失敗したものを比較し、リスクファクターを探る。また、外見的にどのような変化があるのかも併せて報告する。
■略歴
和歌山生
1991年 大阪歯科大学
1995年 同大学院卒(歯科矯正学)
1996年 大阪歯科大学助手(歯科矯正学講座)
医療法人イースマイル国際矯正歯科理事長
■所属学会
日本非抜歯矯正研究会創設メンバー マスター会員
米国アングルソサエティレギュラーメンバー
インビザラインジャパン社ファカルティ
■論文、出版
『非抜歯矯正治療- Molar Oriented Orthodonticsの実際(医歯薬出版 2011)』共著者
『一歩抜け出す未来志向の歯科医ライフ(医歯薬出版 2014)』共著者
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YASUHIRO ITSUKI
斉宮 康寛
■タイトル
“ i-stationα ” 何が進化したのか?そして未来への展望!
■抄録
i-stationは着脱式上部構造を有し、正中口蓋に固定したi-platform上に症例に合わせ必要な都度、自由な上部構造が設計できることが特徴であった。中でもループメカニクスは摩擦を発生させないため、歯の移動範囲を広げ、数々の難症例を治療可能にした。しかしながらこのシステムは、複雑な調整を必要とし、使いこなすことが容易ではなかった。
今回開発したi-stationαはより強固な固定源を有し、複雑な調整を必要とせず、最適な位置に力点を置くことができる。これによりさらに複雑な難症例をより容易に治療することが可能となった。
i-screwαIIIは3条ねじで側方応力に3点(面)で抵抗し、1.5倍の把持力を持った。口蓋骨が薄い症例では4本のスクリューで上部構造を把持できるi-platformαIIIを用意した。遠心移動はT-Loopをシンチバックするだけで、複雑な調整はなくなった。圧下は、作用歯の真下に力点を置き効率があがった。
今回、i-stationαの特徴を紹介し、それを用いた症例、例えば下顎の後退した骨格性上顎前突症例(カウンタークロックワイズローテーションの使用)などを紹介する。
■経歴
1991年 東北大学歯学部卒業
1997年 鶴見大学大学院歯科医学博士号取得
1997年 日本矯正歯科学会認定医取得
2001年 神宮前矯正歯科開設
2006年 医療法人社団スマイルクリエート設立
2009年 日本矯正歯科学会専門医取得
2014年 第11回ヨーロッパ舌側矯正歯科学会にてベストスピーカー賞受賞
2017年 日本先進矯正歯科学会 会長
■所属学会
日本矯正歯科学会
日本口腔インプラント学会
日本口蓋裂学会
日本顎変形症学会
ヨーロッパ矯正歯科学会
アメリカ矯正歯科学会
World Federation of Orthodontists
Member of Angle Society
■論文、出版
1、 正常者および開咬者における嚥下時の舌筋,口腔周囲筋および咬筋筋活動の機能的相違-筋電図学的ならびに頭部X線計測学的研究 日本矯正歯科学会雑誌 55(6)461-476 1996
2、 A new palatal implant with interchangeable upper units, Journal of Clinical Orthodontics 43(5), 318-323, 2009
3、 Temporary anchorage device with interchangeable superstructure for mandibular tooth movement, Journal of the World Federation of Orthodontists 2(1), e19-e29, 2013
4、 A TAD-based system for camouflage treatment of severe skeletal class III malocclusion, Journal of Clinical Orthodontics 50 (7), 401-412, 2016
5、 i-Station clinical applications: Attain the ultimate in treatment for difficult maxillary prognathism, Orthodontic Yearbook 2016, 127-134, the Quintessence, 2016
6、 i-stationの臨床応用 上顎前突を極める。 矯正イヤーブック2016.127-134 ザクインテッセンス2016
7、 Multipurpose orthodontic system using palatal implants for solving extremely complex orthodontic problems, Journal of the World Federation of Orthodontists 6, 80-89 2017
8、 i-stationの臨床 メカニクスその先へ
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HARUYA OGAWA
小川 晴也
■タイトル
~ 開咬の矯正治療を成功に導く「6 Keys」~
■抄録
開咬の原因には、長顔型骨格などの先天的要素の他、態癖や口腔周囲の悪習癖、臼歯の過萌出や咬合干渉、そして外傷や疾病に起因した顎関節の形態的あるいは機能的影響などの後天的要素などが知られている。そして非外科的に矯正治療を行う場合の治癒機転には、①前歯の挺出(上顎前歯の挺出/治療前に低位であった下顎前歯の挺出)、②I.I.A.の改善によるoverbiteの増加、③大臼歯の近心移動や後方歯群の圧下の他、早期接触の解除などによる下顎の反時計回りの回転のような下顎位の変化などが挙げられる。しかし一方で、これらの治癒機転を駆使しながら動的治療を終了したとしても、種々の機能的原因の存在やダイナミックに歯の移動を行ったことに起因する後戻りによる開咬の再発は不本意ながら少なくはない。
そこで今回、治癒機転の異なる数症例の開咬症例の治療経過と術後変化を供覧したうえで、開咬の矯正治療を成功させるために必要な”6つのKey”を紹介する。
■略歴
1961年 8月28日生まれ
1986年 大阪歯科大学卒業
大阪歯科大学歯科補綴学第二講座入局
1987年 大阪歯科大学歯科補綴学第二講座退局
大阪歯科大学大学院入学 歯科矯正学専攻
1991年 大阪歯科大学大学院修了(学位取得)
■職歴、その他
1991年 広島県福山市元町に小川矯正歯科を開設(1998年 伏見町に移転)
大阪歯科大学非常勤講師(至1999年)
1998年 大連医科大学(中国)客座副教授(至2000年)
2006年 筒井塾咬合療法研究会インストラクター(至現在)
2008年 アレキサンダー研究会世話人代表(至2009年)
■学会認定医
1992年 日本矯正歯科学会(JOS)認定医
1999年 英国矯正歯科認定医 (MOrth RCSEd)
2006年 世界舌側矯正歯科学会(WSLO)認定医
日本矯正歯科学会(JOS)専門医
2007年 日本舌側矯正歯科学会(JLOA)アクティブメンバー
2011年 Affiliate member of E.H.Angle Society of Orthodontist (Southwest Component)
2017年 Regular member at large of E. H. Angle Society of Orthodontist(Southwest Component)
■近著
・小川晴也:咬合高径のコントロールが有効であった下顎の側方偏位症例,日本臨床矯正歯科医会雑誌,第19 巻,Vol.1:2-9,2007.
・小川晴也:小児期における顎偏位症例への咬合挙上と態癖指導,始めて、学んで、MTM,デンタルダイヤモンド増刊号,第32巻第14号:124-139,2007.
・小川晴也:左右の咬合高径の不調和と左側臼歯部のクロスバイトと左側のⅡ級咬合関係をともなう下顎の側方偏位症例,臨床家のための矯正YEAR BOOK ‘08,クインテッセンス出版,35-45,2008.
・小川晴也:咬合療法の概念に基づく歯科矯正臨床への取り組み-患者本来のカタチに近づけるために-,前編,Journal of Orthodontic Practice,Vol.25,No.1:29-50,2009.
・小川晴也:咬合療法の概念に基づく歯科矯正臨床への取り組み-患者本来のカタチに近づけるために-,後編,Journal of Orthodontic Practice,Vol.25,No.2:61-78,2009.
・筒井照子,西林滋,小川晴也(共著):態癖-力のコントロール,東京,2010,クインテッセンス出版
・小川晴也:小児歯科における姿勢・態位への取り組み,小児歯科臨床,Vol.16,No.8:20-30,2011.
・小川晴也:態癖改善が歯科矯正治療に及ぼす影響についてー患者本来の”カタチ”に近づけるためにー,甲北信越矯正歯科学会雑誌,第20巻第1号,3-21:2012.
・小川晴也:TADを用いた矯正治療の実際と臨床的使用法,日本成人矯正歯科学会雑誌, Vol.19, No.2: 8-23,2012.
・小川晴也:態癖;山口秀晴,大野粛英,高橋治,他編 MFT臨床,東京,2012,わかば出版,244-246.
・小川晴也,小川聖美:機能的下顎偏位を伴う症例の下顎位についての一考察, Orthodontic Waves-Japanese Edition 第72巻 第1号,35-59,2013.
・岡崎綾子,小川晴也(共著):当院で行っている態癖ならびに口腔周囲の悪習癖改善への取り組みについて,日本臨床矯正歯科医会雑誌,第26巻 第1号 ,9-18,2014.
・小川晴也:舌癖の指導方法,デンタルダイヤモンド,第39巻第12号:105-107,2014.
・小川晴也:成長期における上顎前突の長期術後経過から考える第一期治療の意義,臨床家のための矯正YEAR BOOK 2015,クインテッセンス出版,10-17,2015.
・飯高春香,小川晴也(共著): 舌小帯短縮症に対するMFT-当院におけるそのアプローチについて-月刊デンタルハイジーン,Vol.35 No.12:1368-1373,2015.
・小川晴也,西井康,大谷淳二:MTMのフォースシステムと歯科矯正用アンカースクリューの応用,日本歯科医師会雑誌,Vol.69,No.9:31-39,2016.
・小川晴也:健やかな矯正臨床を目指して-矯正治療を単なる美容で終わらせないために-,日本成人矯正歯科学会雑誌,Vol.23 別冊:34-51,2016.
・小川晴也,筒井照子:良好な長期術後経過を示した「成人開咬症例」から学ぶこと-咬合療法の概念に基づいた矯正歯科臨床-,臨床家のための矯正YEAR BOOK 2018,クインテッセンス出版,28-37,2018.
・小川晴也:矯正歯科臨床 基本から限界まで-Ⅱ級症例-,近畿東海矯正歯科学会雑誌, 53 (1):13-21,2018.
・小川聖美,小川晴也(共著):症例報告-長期安定性を求めてー上顎前突/非抜歯 3°ルールの例外2症例,Journal of Orthodontic Practice,Vol.35,No.10:35-50,2019.
・小川晴也,小川聖美:症例報告-長期安定性を求めてーアングルⅡ級開咬抜歯、アングルⅢ級開咬非抜歯症例,Journal of Orthodontic Practice,Vol.35,No.12:63-81,2019.
・小川晴也:歯科矯正用アンカースクリューの進化と矯正臨床1,Journal of Orthodontic Practice,Vol.36,No.4:37-50,2020.
・小川晴也:歯科矯正用アンカースクリューの進化と矯正臨床2,Journal of Orthodontic Practice,Vol.36,No.6:69-78,2020.
・小川晴也:歯科矯正用アンカースクリューの進化と矯正臨床3,Journal of Orthodontic Practice,Vol.36,No.7:11-29,2020.
・小川晴也:長期経過から小児への矯正治療のタイミングとアプローチ法を考える(6回連載),(その1)まずは習癖指導から始めよう,日本歯科評,Vol.801(10),No.936,69-76,2020.
・小川聖美,小川晴也(共著):上顎大臼歯の遠心移動を行ったAngleⅡ級2類成人症例の良好な長期術後経過について,中・四矯歯誌,32:1-21,2020.
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YASUSHI SUGAWARA
菅原 康志
■タイトル
「中顔面が長いという訴えに対する治療を,骨・軟部組織から考える」
■抄録
中顔面が長いので矯正で(あるいは外科的に)治して欲しい,という訴えで来院する患者が,このところ増加している.しかし時に,患者の言う「中顔面が長い」ということの真意が分からないことが少なくない.こうした患者に対し,どのように診断し適切な治療を提供するのがよいのかを,症例を呈示し考察する.
1.中顔面の長さはどのように判断するのか,その診断基準
1-1 骨の評価
▾ セファログラム分析
- 長さ 角度 比率でどこまで判定できるのか
- 顔面の大きさなど個体差があるが,これをどう評価に組み込むか
▾ 問題点
- セファログラム分析は,mid-sagittal analysisであることと,軟部組織の評価が含まれないことをどのように解決するか
1-2 軟部組織の評価
▾ 軟部組織分析
- 顔面のいくつかのキーポイントを用いた分析が用いられるが,分析項目が多すぎる
- 鼻が長い,人中が長い,といった咬合に直接関わらない部分に問題がある場合は,どのように対応するのがよいのか.
2. 患者が言う「中顔面が長い」とは どういうことなのか
▾ 咬合 lower 1/3 でない要素についての考察
- 上下のバランスだけでなく,顔の前後径(顔の深さ)も影響される
- とくに鼻,鼻周辺の前後径は 中顔面の長さに影響する
- さらに頬骨 眼窩縁の高さによるハイライトの位置も影響する
3.骨と軟部組織のバランスを作ることによる改善方法について
▾ 人中短縮を含む U1 show のコントロール
▾ 鼻周辺へのアプローチ
▾ 頬骨眼窩縁へのアプローチ
■略歴
1986年 香川医科大学卒業 東京大学形成外科に入局
1990年 台湾・長庚(チャングン)記念医院
1991年 東京大学形成外科 医員
1997年 スウェーデン・ヨーテボリ大学
1998年 自治医科大学形成外科 講師
2004年 自治医科大学形成外科 助教授
2007年 自治医科大学形成外科教授
2015年 リラ・クラニオフェイシャル・クリニック院長、造形医学研究所所長、自治医科大学客員教授
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SHOJI SUGIYAMA
杉山 晶二
■タイトル
デジタル3Dソースを利用した矯正診断と治療
難症例をいかに乗り越えていくか
Orthodontic Diagnosis and Treatment with 3D Digital Sourse.
How to complete Advanced Cases
■抄録
近年、CBCT、口腔内スキャナー、デジタルセットアップモデル、カスタマイズブラケットおよびワイヤーなど、デジタル3Dソースを矯正臨床応用することにより、診査診断の精度と治療効果に著しい向上が見られる。日常臨床では数々の難症例と遭遇することがあるが、今回の講演では、固定不足ケース、アンキローシスを持つケース、著しいディスクレパンシーケース、高度の審美的要求を求められた難症例に対して、どのようにデジタル3Dソースを応用して解決の道を開いていくか、いくつかの臨床例から評価と考察を述べてみたい。
■略歴
昭和60年3月 日本歯科大学卒業
平成3年 3月 日本歯科大学歯科矯正学大学院博士課程修了
平成6年11月 東京都渋谷区にて医療法人社団矯晶会 杉山矯正歯科開設
■学会認定医・所属学会
歯学博士
日本矯正歯科学会 認定医 臨床指導医
Incognito System K.O.L. Member
WFO フェロー
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CHIORI HASHIBA
橋場 千織
■タイトル
口蓋型アンカースクリュー(i-station)の使用経験と臨床例
■抄録
斉宮康寛先生により開発されたi-stationは、2014年に歯科矯正用アンカースクリューとして薬事承認を受け、多くの先生方に利用されていたが、2022年にi-stationαとして進化した。当院では2015年よりi-stationの使用を開始し、現在に至っている。口蓋正中部にアンカースクリューを埋入する方法は、多様な方法が存在するが、i-stationの特徴としては、フォースシステムを司るi-armを簡単に着脱でき調整できることと、強固な構造で脱離が非常に少ないことである。
当院でもi-stationの成功率は非常に高く、スクリューの脱落率はわずか1%未満である。一方i-armの破折率は10%とスクリューの脱落率に比べ高くなっている。確実なアンカーの獲得は矯正治療において非常に重要である。
今回は、当院でi-stationをどのように臨床応用しているのかを症例を通してお示ししたい。また歯の移動がどのように達成できているかについての考察も報告したい。
■略歴
日本歯科大学大学院卒業
■所属学会
日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)・認定医
EBO(European board of Orthodontists)
Angle Society Southwest正会員(South west)
日本舌側矯正学会認定医・理事
日本歯科審美学会認定医・副理事長
日本成人矯正歯科学会認定医・常任理事
日本アンチエイジング歯科学会認定医・理事
日本デジタル歯科学会認定専門医、常任理事
アメリカ審美学会(ASDA)Accredited&Fellow
WSLO(World Society of lingual orthodontics)Active member
ESLO (European Society of lingual orthodontics) Active member
アメリカ矯正学会国際会員
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KENSUKE YAMAUCHI
山内 健介
■タイトル
State-of-the-art in Orthognathic surgery
■抄録
顎変形症は骨格的形態異常を伴う咬合不全に対する治療であり、歯・歯槽部と顎骨の異常に対して外科と矯正歯科が連携して取り組む体系が特徴です。口腔外科医が担う役割としては顎骨の位置を改善する顎矯正手術を担当することとなり、2000年代以降において手術術式自体に大きな変更や改変はないものの、手術機器や画像関連の発展に伴う変化が大きいことが特徴です。手術機器としては超音波骨切磋機器の普及による低侵襲手術による安全性の向上が挙げられ、そして画像関連としてはCT画像による手術シミュレーションからCAD/CAMスプリントによるガイドサージェリーのように、3次元的画像を取り入れた治療体系の確立があります。両者の発展により上顎骨骨切り術の適応が広がり、世界的に上下顎同時骨切り術の割合が増加し、今後もその傾向は続くものと考えられます。われわれは上記のような顎変形症治療の発展に取り組みつつ、更なる未来にむけてロボット手術を視野にした間接視下で手術を行う外視鏡手術、上顎骨の3次元的な位置決めをナビゲーションで行う新規技術の開発にも着手しています。また、新型コロナウィルス感染症拡大期によって起こった変化の一つに高速通信機器を使用したリモート環境の整備と普及が挙げられ、医療でもオンライン診療の適応拡大がなされました。顎変形症治療においても、オンラインによる遠隔連携診療が徐々に導入されつつあり、遠隔連携診療の可能性が拡大しています。本講演では、これまでの概要を報告しつつ、未来医療を意識した取り組みについて紹介し、顎変形症治療の未来について考察したいと思います。
■略歴
2001年3月 東北大学歯学部 卒業
2001年4月 九州歯科大学口腔外科学第二講座 研究生
2001年11月 香川県立中央病院歯科口腔外科嘱託医
2003年4月 九州歯科大学口腔外科学第二講座 助手
2007年4月 九州歯科大学形態機能再建学分野 助教
2011年4月 オランダ・マーストリヒト大学頭蓋顎顔面口腔外科講座 留学(〜2012年3月)
2012年9月 東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 助教
2013年4月 東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 講師
東北大学病院 歯科インプラントセンター 副センター長 (兼任)
2017年3月 東北大学大学院歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野 准教授
2022年10月 東北大学歯学研究科 顎顔面口腔再建外科学分野 教授 現在に至る
■資格
歯学博士
(公社)日本口腔外科学会専門医・指導医
(公社)日本口腔インプラント学会専門医・指導医
がん治療認定医(歯科口腔外科)
臨床研修指導歯科医師
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NORIAKI YOSHIDA
吉田 教明
■タイトル
アライナー矯正治療のバイオメカニクス
■抄録
見えない矯正治療、審美的な矯正装置への需要が高まる中、CAD-CAM(Computer Aided Design and Computer Aided Manufacturing)技術の発展とともに、アライナーによる矯正治療が開発されて以来、20年が経過しました。そして今や、アライナーがマルチブラケット装置を駆逐するかのような勢いで、急速に世界中に広まってきています。しかし、アライナーが歯にどのようなフォースシステムを与えているのかについて不明な点が多く、実際に歯がどのように動いていくのかを定量的に予測することは、いまだに困難とされています。アライナー治療において、現状では臨床が先行しており、そのメカニズムやメカニクスについては、謎に包まれたブラックボックスであるといえます。本講演では、その中身を少しのぞいてみたいと思います。
近年のアライナーのシステムや治療技術の進歩により、アタッチメントの効率的な使用などを通して、治療結果の予知性が向上しつつありますが、様々な報告より、計画した歯の移動と実際の歯の移動との間に不一致が存在すること、歯の移動の予測・再現性(predictability)が歯の移動様式により大きく異なること、すなわち得意な移動と不得意な移動があることがわかってきました。特に抜歯症例において、空隙閉鎖時の切歯のトルクコントロールが困難なこと、大臼歯の近心傾斜を含めて顕著なボーイングエフェクトが発現することが大きな問題となっており、今後科学的根拠に基づく予知性の高い治療システムの構築がより求められることになります。
本講演では、アライナー治療のバイオメカニクスについて考察し、治療効率を最大化し好ましくない副作用を最小化するための解決策について考えたいと思います。
■略歴
1986年 長崎大学歯学部卒業
1990年 長崎大学歯学部附属病院矯正科 助手
1992~1994年 ベルリン自由大学(ドイツ) 研究員
1994年 フンボルト大学(ドイツ) 研究員
2000年 長崎大学歯学部附属病院矯正科 講師
2001年 長崎大学歯学部歯科矯正学講座 教授
2002年~現在 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯科矯正学分野 教授
2005年 南カリフォルニア大学(米国) 客員教授
CLOSE
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KEISUKE WADA
和田 圭祐
■タイトル
簡便で低侵襲な組織再生への様々なアプローチ
―成長因子からレーザーへの応用―
■抄録
人々の歯に対する健康意識が高まる中、成人への矯正治療の機会も増加傾向にある。 そのようなケースでは歯列不正と同時に歯周組織に問題がある場合が多い。 簡便で低侵襲で再現性の高い組織再生へのアプローチが求められる中で一近年における技術革新を用いたさまざまな可能性が模索されている。その中でレーザーの生体に対する影響に関する基礎、臨床的研究も進められており、その生物学的作用と安全性、治癒促進効果(Bio stimulation)からも有用性の高い治療ツールとしての期待が膨らんでいる。本講演では歯周病治療、歯周形成外科、補綴前処置、インプラント治療とそれに付随した骨再生治療、さらには最近増加傾向にある歯周およびインプラント周囲炎における従来のアプローチとレーザーを用いた数々の臨床例を供覧しながら、その背景にある基礎、臨床エビデンスを討論し、現在のレーザーを用いた低侵襲組織再生治療の到達点について理解を深める時間としたい。
■略歴・資格
1996年3月 広島大学歯学部卒業 (DDS) 2001年3月 名古屋大学医学部大学院(顎顔面外科学)修了(医学博士:Ph.D)
2008年6月 ハーバード大学歯学部大学院修了(医学博士:DMSc)
および アメリカ歯周病専門医 取得
2010年5月 アメリカ歯周病学会(AAP)ボード認定医 (Diplomate)
2012年7月 ペンシルバニア大学歯学部卒業 (DMD)ペンシルバニア州歯科医師免許取得
2012年9月 ペンシルバニア大学歯学部 歯周病学講座 准教授
および 口腔インプラント学 ディレクター
2015年9月 テンプル大学歯学部 歯周病口腔インプラント学講座 准教授
および アメリカ歯周病専門医プログラム ディレクター
2015年4月 アメリカ歯周病学会(AAP)財団よりこれからの歯周病学をリードする若手歯周病専門医25名に選出される
(https://www.periofoundation.org/25-anniv/25-researchers/73-keisuke-wada)
2016年1月 テンプル大学歯学部 歯周病口腔インプラント学講座 主任教授
2018年9月 完全帰国
現在
医療法人社団東陽会 和田歯科医院 理事 副院長
医療法人社団BRIGHT 理事長
アイスマイル歯科クリニック東京 院長
■所属
テンプル大学歯学部 客員教授(歯周病インプラント学講座)
広島大学歯学部 客員教授(顎顔面外科学)
東京医科歯科大学 歯学部 歯周病学講座 非常勤講師
CLOSE
五十音順
日本先進矯正歯科学会学術大会japanese advanced orthodontic conferenceChairmanシンポジウム座長
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SHINTARO OKASHITA
岡下 慎太郎
■略歴
2001年3月 大阪歯科大学卒業
2001年4月 大阪歯科大学歯科矯学講座入局 同大学院入学
2005年3月 大阪歯科大学歯科矯正学講座大学院 卒業 学位取得
2007年3月 大阪歯科大学歯科矯学講座講師(非常勤)就任
2007年4月 岡下矯正歯科開院
2016年4月 岡下矯正歯科移転 新規開院 現在に至る
■所属学会
日本矯正歯科学会認定医・臨床指導医(旧専門医)
大阪歯科大学歯科矯正学講座講師(非常勤)
慶煕大学歯学部歯科矯正学講座臨床教授(韓国)
近畿矯正歯科研究会(AORK)会計幹事
一般社団法人日本舌側矯正学会理事
CLOSE
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JOJI TAKAYANAGI
高柳 譲司
■略歴
2001年 明海大学歯学部卒業 同大学歯学部歯科矯正学講座入局、同大学歯学部大学院入学
2005年 明海大学歯学部大学院卒業 歯学博士取得
明海大学歯学部歯科矯正学講座臨床非常勤講師
2008年 舌側矯正専門クリニック「イーライン・竹元矯正 歯科」入社
同クリニック 副院長就任
2012年 舌側矯正専門クリニック「イーライン・竹元矯正歯科」退職
2012年 表参道高柳矯正歯科開設
2020年 医療法人社団J.TAKAYANAGI ORTHODONTIC OFFICE 開設
2021年 クリニック移転
■所属学会
日本矯正歯科学会(認定医)
世界舌側矯正歯科学会 WLSO(active member 認定医)
ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 ESLO(Titular member 専門医)
日本舌側矯正歯科学会 常務理事
CLOSE
日本先進矯正歯科学会学術大会japanese advanced orthodontic conferenceProgramプログラム
DAY01
2023.01.28
9:30 - 9:50(20分) | 受付 |
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9:50 - 10:00(10分) | 大会長挨拶 |
10:00 - 11:00(60分) | 【講演1】成人矯正における顎整形的治療の効果 有本 博英 先生 |
11:00 - 12:00(60分) | 【講演2】デジタル3Dソースを利用した矯正診断と治療 難症例をいかに乗り越えていくか 杉山 晶二 先生 |
12:00 - 13:00(60分) | ランチ |
13:00 - 14:00(60分) | 【講演3】簡便で低侵襲な組織再生への様々なアプローチ―成長因子からレーザーへの応用― 和田 圭祐 先生 |
14:00 - 15:00(60分) | 【講演4】口蓋型アンカースクリュー(i-station)の使用経験と臨床例 橋場 千織 先生 |
15:00 - 15:30(30分) | 休憩 |
15:30 - 16:30(60分) | 【講演5】アライナー矯正治療のバイオメカニクス 吉田 教明 教授 |
16:30 - 17:30(60分) | 招待講演者によるシンポジウム1 座長 高柳 譲司 先生 |
DAY02
2023.1.29
10:00 - 11:00(60分) | 【講演6】「中顔面が長いという訴えに対する治療を,骨・軟部組織から考える」 菅原 康志 先生 |
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11:00 - 12:00(60分) | 【講演7】State-of-the-art in Orthognathic surgery 山内 健介 教授 |
12:00 - 13:00(60分) | ランチ |
13:00 - 14:00(60分) | 【講演8】~ 開咬の矯正治療を成功に導く「6 Keys」~ 小川 晴也 先生 |
14:00 - 15:00(60分) | 【講演9】“ i-stationα ” 何が進化したのか?そして未来への展望! 斉宮 康寛 先生 |
15:00 - 15:30(30分) | 休憩 |
15:30 - 16:30(60分) | 招待講演者によるシンポジウム2 座長 岡下 慎太郎 先生 |
16:30 - 16:40(10分) | 閉会の辞 |
日本先進矯正歯科学会学術大会japanese advanced orthodontic conferenceRegistration参加申し込み
下記によってそれぞれお申し込み方法が異なります。
該当する内容でお申し込みをお願い致します。
第五回日本先進矯正歯科学会学術大会
japanese advanced orthodontic conference
【会場】
早稲田大学 国際会議場
井深大記念ホール
〒169-0051
東京都新宿区西早稲田1丁目20-14
Accessアクセス
徒歩でお越しの方
・地下鉄 東西線 早稲田駅 から 大学構内を横切っていただいて、徒歩9分
・都電 荒川線 早稲田駅 から徒歩3分
・高田馬場駅からバスにて早大正門まで約13分、早大正門 から徒歩6分
▼詳しくは下記のURLからご確認ください。
https://www.elforum.org/map.shtml